本記事では、選ばれしチャレンジャー7名の一人、斉藤大将さんをご紹介します。
斉藤大将さんは、VR/AR技術を活用した美術館の制作を手掛けています。2016年に単身エストニアに渡り、タリン工科大学で物理学修士を修了、2016年から5年間をエストニアで過ごしました。昨年より日本に帰国しており、現在は東京を拠点に活動されています。
VR/AR美術館を立ち上げるまでのストーリー
VR/AR美術館を展開している斉藤さんですが学生時代は理論物理学を専攻されており、理系ではあったもののエンジニアリングやプログラミングについては独学で、転機はエストニア留学にあったそうです。エストニアは今でこそ起業のエコシステムが形成されつつありスタートアップ先進国と評判ですが、当時はまだ日本ではあまり有名な国ではなく、、斉藤さんは日本で電子国家エストニアが流行り始めたことを「ブームの方が俺に乗ってきた。(笑)」と表現されていました。そんなエストニアで、斉藤さんは現地を訪れたIT企業の日本人の案内や観光案内の個人事業しながら交流を深め、いつしかフリーランスとしてWeb開発の仕事を頂くようになったそうです。また現地の院生時代にはルーブル美術館等の多くの美術館に通い、論文もベストセラー文学作品の分析について執筆したり、小型人工衛星の研究開発をするなど、日常生活において芸術活動に触れる機会が多く、このエストニアでの体験が後のVR/AR美術館に繋がっていきました。
芸術と日常、地域が溶け合う空間を創る
昨年日本に帰国した斉藤さんですが、知人の紹介でコロナ禍で個展が開催できなくなった画家さんとともに、VR/ARの知識を学習しつつ、VR上で簡易的な美術館の作成にトライしました。そのような活動を行う中で、香川県を含め、デジタル的に地方創生を行う仕事をする機会を得ました。香川県での活動を行う中で、斉藤さんは地方創生×アートの領域には大きな可能性が眠っていると確信しました。具体的には地方の美術館のバーチャル化や、各地域の美術館をシームレスに繋ぐプラットフォームなど、場所にとらわれない機会を提供します。また単にリアルの美術館をバーチャルで上再現するだけではなく、バーチャル上でこそ可能な演出や、各地域をまたいでのワープも実現していきます。
地方創生×アートの可能性
VR美術館の各地域への展開や芸術を使った創造性に関する教育や展示開の実施、さらにふるさと納税のポータルサイトへVR技術を導入するなど、地方創生×アートの可能性を引き続き模索していきます。またそのためのビジネスパートナーである企業や自治体との共創機会も、このアワードで模索していることです。芸術と日常、地域と地域、現実とバーチャルと、これらが溶け合うことで生まれるクリエイティブは、私たちの生活に更なる彩をもたらすでしょう。
(文・公益社団法人ジャパンチャレンジャープロジェクト事務局 高橋勇作)