【チャレンジャー紹介】村田淳一『乗鞍・冷泉小屋再生プロジェクト』~山をもっと近くに、次の世代に~

本記事では、選ばれしチャレンジャー7名の一人、村田淳一さんをご紹介します。

村田淳一さんは、長野県と岐阜県の県境にそびえる3026mの名峰「乗鞍岳」の中腹に立つ山小屋「冷泉小屋」の再生プロジェクトを行っています。冷泉小屋では標高2100mからの眺望、雲海に昇る朝日、硫黄を含んだ冷泉を使った風呂など、土地の特性を最大限活用して新しい山小屋作りに挑戦されています。普段山に登らない私ですが、「そんな山小屋があるなら、一晩過ごしてみたい!」と思うほど、魅力的なプロジェクトが始動されていました。

「乗鞍・冷泉小屋再生プロジェクトが始動するまでのストーリー」

村田さんが本格的に山登り始めるようになったのは、ご両親が退職後に安曇野に移住されたことがきっかけでした。また普段はCM制作やPV制作など映像制作に従事され、auの三太郎やアサヒスーパードライのCMも手がける村田さんですが、仕事が上手くいかない時期があったそうです。そんな時、一人で気分転換のために山を登ったり、仲の良い友人と食材を担いで山に登ったり、と自身が山に救われた原体験がありました。そんな時、仕事のご縁でYAMAPという登山アプリを運営する企業のプロモーションを手伝うことに。そこで下見に行った際に見た冷泉小屋が頭から離れなかったそうです。

山をもっと近くに、もっと楽しく

頭から離れなかった冷泉小屋の魅力は、小屋の前に道路が通っていることによるアクセスの良さ、多様なアクティビティ提供の可能性、と様々な山小屋に滞在してきた村田さんですが、冷泉小屋ならばもっと山を手軽に楽しんでもらうことができるのではないか、と感じたそうです。しかし、この冷泉小屋、当時は15年閉じられていたままでした。というのも、山小屋は基本的に世襲制であり、外部の方が山小屋を引き継ぐという文化は浸透していません。村田さんは前オーナーの方と林野庁や環境省と交渉し、林野庁からの許可を経て正式に冷泉小屋のオーナーになりました。自分の救いであった山をもっと身近に、山小屋での時間をもっと楽しく、そんな想いで村田さんは活動されています。

次世代型の山小屋へ

村田さんはこの冷泉小屋を従来の良さを受け継ぎ、次世代型の山小屋へ発展させるべく、アワードでは、設備投資のための資金調達を目指します。具体的に、冷泉小屋は非常に日当たりがよいため太陽光の活用した太陽光発電や、湧水である冷泉を活用したマイクロ水力発電を通して、クリーンな山小屋を目指します。また提供される料理は村田さんの奥さんが振る舞ってくれるそうで、夕方から夜にかけての最も星がよく見える時間帯、美味しい食事と星空、薪ストーブ前での心地よい時間。そんな最高の体験を皆様に届けるべく、村田さんは今日も活動します。

(文・公益社団法人ジャパンチャレンジャープロジェクト事務局 高橋勇作)

2020年9月30日